仏教について
皆さんは信じている宗教ってありますか?
おそらく多くの人が「特にないです」とか「実家が浄土真宗だったかな?」くらいかと思います。ガラパゴスも完全にこのパターンです。
ガラパゴスは医者になって7年経ちますが、日本人に宗教がないことのデメリットを感じる時がたまにあります。
例えば自殺ですね。キリスト教をはじめ多くの宗教が自殺を禁じています。
日本は世界でも自殺率が高い国で有名ですよね。もちろん自殺の原因はこれだけではないですが、自分が追い詰められた時にすがるものがないというのはやはり辛いのではないのでしょうか。
もちろん免罪符みたいに人間の死への恐怖(死後の世界への恐怖)を利用した詐欺紛いの宗教利用もあるので一概にいいとは言えませんが、それで救われている人がいるのもまた事実ではないかと思います。
あと以前からの関心としてなぜ日本人はここまでバッシングが好きなのかということをよく考えます。
別に偽善ぶっているわけではなく、ガラパゴス自身もバッシングしたい気持ちはわからなくはないです。あおり運転で捕まった人の職場探したり、いじめで同級生を自殺に追い込んだ子の親の顔画像とかめっちゃ検索したりしてます 笑。
個人的にはこれも宗教がないせいではないかと思っています。原罪的な発想は日本人にないので、全く我が身を振り返ることなく他人を叩くことができるのではないかと思います。
そもそも法律以外で人間の行動規範がないこと自体、結構無理があるのではないかと思います。正しいこと、正しくないことの基準が親からの教育と学校で習う道徳しかないのは厳しい気がします。
なぜ不倫がよくないのかちゃんと教えてもらっていないのに、とにかくダメなこととしてバッシングしまくるのも理不尽な気がします(そもそも一夫一妻性自体、日本がキリスト教的システムの外殻だけを抜き取ったものだから無理があるという説もあります)。
そんな中、ガラパゴスが臨床をやっていく上で倫理的な問題に悩むことが多いのですが、その度に「結局人にとっての幸せとは何か?」という命題に突き当たる事が多くなってきました。
最近ガラパゴスが経験した事例でいうと、寝たきり高齢女性が主介護者である息子から適切な介護を受けられず(ネグレクト)別離することになったのですが、息子(おそらく発達障害)は母の事を愛しており病院まで母親を取り戻そうとしに来たり、母もそこまで家に帰ることを嫌がっておらず、本当にこの2人を離す事が本当に幸せな事なのか非情に悩みました。
事例が終わってからも心の中でずっとモヤモヤしていて、いったい誰に相談すればいいか分からず悶々としていましたが、思い立って教会に出向き牧師さんに話を聞くことにしました。
牧師さんのお話を聞いて、障害のある子を産んだ母は責任を感じてその子を必要以上に愛してしまい、子供もその愛から離れられなくなってしまう共依存の関係が生まれやすいことを知りました。
またガラパとお話している1時間の間に何本も信者の方から電話がきて悩みを聞いたり、灯油をもらいくるおばちゃんがいたりなど(笑)、「俺なんかよりよっぽどこの人の方が人救っているじゃん!」と衝撃を受けました。
そんなわけでいよいよ宗教を勉強しよう!と思い立ち、まずは聖書を読もうとしたものの難しすぎて即挫折してしまいました 笑。
なのでとりあえず一番身近で勉強しやすいだろう仏教をテーマに勉強することにしました。
これでだいたいの流れを理解しました。
でも日本の仏教とだいぶ雰囲気が違うなーと思い、作品としては面白かったですがいまいちピンとくる感じまではいきませんでした。
ここで一旦仏教の勉強が止まってしまったガラパゴスはその後新興宗教の方に興味が移動します 笑。
もう削除されていますが、以前youtubeにスカパーの「BAZOOKA」という小藪千豊がやっている番組(しみけん はあちゅうの回にも出てきましたね)に宗教学者の島田裕巳先生が日本の新興宗教について解説してくれた動画がupされていました。
これを見て「新興宗教面白い!」となり、仏教からではなく逆に新興宗教から日本の宗教を勉強することにしました。
ちょうど島田先生の本がAmazonで売っていたので読んでみました。
中身的には創価学会とか天理教とか立正佼成会とかの日本の有名な新宗教の成り立ちや変遷について解説してくれていました。
ここでわかったのは日本の新宗教は全くのオリジナルではなく(幸福の科学とかはほぼオリジナルですが)、だいたいは仏教系と神道系に分かれていることを知りました。
正直この時点でガラパゴスは仏教と神道の違いはよくわかっていなかったのですが(もっというとお寺と神社の違いもわからない状態)、驚いたのは創価学会と立正佼成会は同じ仏教の日蓮宗が元になっているということでした。
「じゃあ教えも同じじゃん!」「なぜ別れる必要がある!」と思ったのですが、これに関しては宗教系youtuberのえらてんさんが動画で解説してくれています。
【5分で分かる】なぜ同じ日蓮宗系なのに対立?創価学会VS顕正会VS日蓮正宗
この辺で「じゃあ日蓮宗を学べば創価学会とかの考えもわかるかも」ということで、この後日蓮宗について勉強していきます。
日蓮宗についてすごい簡単にいうと、鎌倉時代に日蓮さんというお坊さんが「仏教で大事なのは法華経だ!」「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)を唱えるだけで救われる!」と言い出した宗教です。
「法華経って何!?」って話で、ガラパゴスも結構勉強してみましたが最終的にはあまり理解できませんでした(笑)。NHKで法華経の解説をした番組がyoutubeに上がっているので興味があれば見てみてください。
日蓮宗の大きな特徴としては「他宗教に厳しい」と「現世利益が大事」ということがあり、この基本的な考え方は創価学会などにも通じています。
現世利益がわかりにくいと思いますが、宗教は基本的には「来世(生まれ変わり)」に期待するパターンと「天国(極楽浄土)」に期待するパターンと「現世(今生きている体)」での幸せを目指すパターンがあります。
日本の新宗教は結構「現世」で幸せになることを目指しているものが多いのですが、それは日蓮宗の影響が大きいかもしれません。科学の発展であまり来世や天国を信じる人が少なくなって逆に現世利益を目指す人が増えたからかもしれません。
創価学会は最近はそこまででもないですが、以前は他宗教への批判もよくしていましたし、公明党を作って与党になって創価学会の人にとって利益のある世の中にしようとしています。
ニコニコ大百科もご参照ください。
日蓮宗のことがだいたいわかったところでもう一度日本の仏教について勉強し直します。
まず日本の仏教は宗派が13あるのですが(この時点でだいぶ萎えるけど)、まずその国内シェアを見ていきましょう。
これを見てもわかる通り日本では圧倒的に浄土宗・浄土真宗が多いことがわかります。
なのでまずはこの二つについて勉強していきましょう。
なので日蓮宗より前です。
浄土宗・浄土真宗はその名の通り「天国(極楽浄土)」に期待するパターンの考え方であり、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」を唱えるだけで「阿弥陀如来(あみだにょらい)」が極楽浄土に連れて行ってくれるという考えです。
なぜこのような考えができたのかについては(日蓮宗も含めて)中田敦彦のyoutube大学で解説してくれているので是非見てみてください。
つまり平安時代に実生活が満ち足りた貴族とかが結局「死ぬのが怖い」ってなって、その死の恐怖から解放されるためにでてきた宗派ということですね。しかも「南無阿弥陀仏」を唱えるだけでいいというお手軽さも人気の秘訣なんですね。
日蓮宗はその後に鎌倉時代に民衆向けにできた宗派なんですね。しかし唱えるだけで救われるというのは日蓮宗も浄土宗・浄土真宗もだいたい同じ感じです。
ちなみに浄土宗と浄土真宗は何が違うかというと浄土真宗の方が後にできたんですけど、より何もしないでも阿弥陀如来が助けてくれるのが浄土真宗と思ってもらえればいいです。
このころからお坊さんが結婚してよいことになるのですが、これも「何しても阿弥陀如来が来てくれるから大丈夫!むしろ阿弥陀如来のこと信じられないの?」的な発想のためお坊さんもあんまり禁欲的な感じにならなくなってきます。
こちらのお葬式屋さんの話がわかりやすいですね。まぁでも浄土宗も浄土真宗も基本的な考えは同じものと思ってもらっていいと思います思います。
第214回「浄土宗と浄土真宗の違い。おなじ浄土系でお葬式はこんなに違うって話し。」葬儀・葬式ch
ここまで勉強してわかったのは日本の仏教の特徴としては「救われるハードルが低い」というところですね。なんの修行もしないで念仏唱えるだけで救われる(仏になれる)なんて「逆に楽すぎじゃない?」って思ってしまうくらいですね。
では他の国はどうなのか?って話なのですが、これがなかなか興味深かったです。
まず仏教はどこで出来たのかというとインドなんですが、実はインドではすでに仏教はほぼ無くなっています。皆さんも知っての通りインドは基本的にヒンドゥー教の国ですよね。実は世界3大宗教はキリスト教、イスラム教、仏教ではあるのですが、信者の数は仏教よりヒンドゥー教の方が多いんですね。なぜインドで仏教がなくなってしまったのかは僕も色々調べましたがよくわかりませんでした(わかる方是非コメント下さい)。
じゃあ日本以外で仏教やってる国ってどこだ?ってことなんですが、まずみなさんが思い浮かべるのは中国かもしれません。なんせ日本に仏教を入れたのは中国ですし、日本の仏教の先駆者達は中国に勉強に行っていますし、あの有名な三蔵法師さまも中国人ですよね?
しかし実は中国でも仏教はほぼ無くなっています。むしろ排除しようとしています。中国の西の方にチベット自治区というのがあるのですが、ここでなんとか残っているくらいです。ダライ・ラマ3世とかのとこですね。
この辺の事情も中田がまた詳しく解説してくれています。
【世界史】中国現代史と香港デモ騒動〜前編〜歴史を学べば今のニュースがもっと分かる
つまり共産主義と宗教は組み合わせが悪いんですね。こういう理由で中国では仏教はほぼ無い状態です。
なのであと仏教を信仰している大きな国は現在タイぐらいしかありません。
つまり日本人は自分たちのことを「無宗教だ」と思っているのですが、実は世界的にみたら日本は代表的な仏教国なんですね。面白いですね。
ここで気になるのは、タイに行った人ことある人ならわかると思うのですが、タイと日本が同じ仏教国だって聞いてもあまりピンと来ないですよね。
あっちは街のそこら中にお寺があって、お坊さんがうじゃうじゃ歩いてますよね。日本よりもだいぶ仏教に対する熱を感じます。
これが何故かというと仏教が色々なところに伝わっていく過程で「大乗仏教」と「小乗仏教(上座部仏教)」に分かれたためです。結論からいうと日本のようなゆるい系仏教が「大乗仏教」で、タイみたいなガチ系の仏教は「小乗仏教(上座部仏教)」といいます。
大乗仏教はすごい簡単にいうと「誰でも成仏できる」ことを主眼としていて、小乗仏教は「修行した人じゃ無いと成仏できない」という考え方です。
なぜこのように考えが分かれて行ったかというと、おそらく地理的な問題が大きいと思われます。
当たり前の話ですがタイの方が日本よりインドに近いですよね?
なのでインドに近いタイの方が元々インドで生まれた仏教の考え(原始仏教と言ったりします)に近い影響を受けやすいです。なので「修行しないと成仏できない」という基本的な考えが根強いのでみんな出家するようです。
逆に日本の場合、仏教がインドから日本に至るまでに中国や朝鮮半島など物理的にかなり長い距離を移動しています。その中で少しずつ伝わりやすい形に変化していったので徐々にハードルが下がって行き受け入れやすい形になっていったのかもしれません。
ここで今更なのですが「成仏」とはなんなのか解説していきます。
「成仏」とはその名の通り「仏に成る」ことを指します。仏とはつまり「悟りを開いた人」のことをいいます。
なんとなく「成仏=死んだ」という感じがしますが、本来的には生きているうちに悟りを開いても仏になれます(もちろん死んで成仏するパターンもあります)。
ちなみによく聞く「菩薩」とは「悟りを開く前の修行中の人」のことです。
さらにちなみにですが「ブッダ(仏陀)」は固有名詞ではなく悟りを開いた人の一般的な呼び方です。なんとなく「ブッダは仏教を作った人」という印象だと思いますが、ブッダの本当の名前は「ゴータマ・シッダールタ」という人で、通称「お釈迦様」です。
まとめると仏教を作ったのはゴータマ・シッダールタ(お釈迦様)で、お釈迦様は悟りを開くために修行をして(菩薩)、悟りを開き(成仏)、仏(ブッダ,仏陀)になったということです。
じゃあ「悟るって何?」って話ですが、一言でいうと「煩悩を捨てる」ことを指します。
もうちょっと詳しく書くと、お釈迦様は「どうしてみんなこんなに苦しんでいるのだろう?」と考えた時に「欲にとらわれているからだ!」という結論に達します。
仏教とはそのとらわれ(煩悩)をなくすことで苦しみがなくなり救われるという考えです。
この辺の詳しいことは最近僕のはまっているCOTEN RADIOで語られていますので是非聞いてみてください。
美女500人との宴会より自己との対話・仏陀【COTEN RADIO #36】
ここまで かなり大変でしたが、ようやく「仏教の教え」にたどり着くことができました。みなさまもお疲れ様でした。
ガラパゴスがここまで勉強したことによりひとつ気付いたことがありました。
それは「ガラパゴスはなぜ幸せではないか」ということです。
ガラパゴスはここ数年「医者にもなって結婚もして子供もできたのに全然幸せを感じられない」ことにすごく悩んでいました。
今幸せじゃなかったらもう一生幸せになれないんじゃないかと思い、ちょっとビビりながら生活をしていました。
しかしこれが「ガラパゴスが煩悩にまみれているから」ということがわかりました。
「もっと金が欲しい!」「もっと偉くなりたい!」「もっといい女と付き合いたい!」などの欲望がある状態だからそれにとらわれて全然幸せじゃないんですね。どんなに目の前の欲望を達成しても次の欲望が出てきてしまうのでいつまでたっても幸せになれないという真理に気づきました。
しかし逆にこの煩悩のおかげでいっぱい勉強したり、楽器を練習したり、ダイエットをしたりするモチベーションにつながっているので、人間として成長させてもらっている部分もあると思います。
なのでまだ迷いの中にいるのですが(笑)この辺りについては他の宗教も勉強したあとに総合的に判断したいと思います。
本日紹介仕切れませんでしたが、さらに興味がある方は是非「般若心経」についても勉強してみるといいと思います。日本の仏教では日蓮宗以外のすべての宗派が「般若心経」を経典としているので、「般若心経」を理解することで日本の仏教についてより深く理解できると思います。
ガラパゴスはこちらも途中で挫折したので(笑)、解説することは難しいですが、なんとなく「既存の概念にとらわれるなよ」的な話かと思います(適当)。
一応参考のyoutube貼っておきます。
あと原始仏教にはそもそも「死」についての考えがないのですが、日本の仏教はお葬式など「死」に関連した要素が強いですよね。
なぜ日本では仏教が「葬式仏教になったのか」の話も面白いので、余裕がある人は勉強してみてください。
先ほど貼り付けた中田youtube大学でも言及していますし、池上彰さんの本でも書いてありますので興味あれば是非読んでみてください。
最初は患者さんや社会に対しての興味から入った仏教でしたが、結論は自分の事になってしまいました(笑)
キリスト教、イスラム教についても勉強していきたいので、まとまったら記事書きますね。
ではまた。